野村康著「社会科学の考え方―認識論、リサーチ・デザイン、手法―」
村上ゼミの毎月恒例、課題図書。毎月1冊、村上先生が選出した本を読み、章ごとの100字要約と1000字感想を提出しています。今回紹介するのは、2022年春休みの課題図書です。
野村康「社会科学の考え方―認識論、リサーチ・デザイン、手法―」名古屋大学出版会
著者は、名古屋大学大学院環境学研究科教授。本書は、社会科学における研究の「方法論」を開設することを目的としている。最大の特徴は、各手法やリサーチ・デザインの技術的解説にとどまらず、その背景にある考え方・ロジックに光を当てて、方法論を体系化している点。実践的な解説もふんだんに盛り込まれており、2018 年に「日本公共政策学会著作賞」を受賞している。
―― 村上先生がこの本を選んだ理由は?
村上先生)2017 年に出版された社会科学における方法論(methodology)についてのガイドブックです。この本の特長は、(本の帯にも書いてあるとおり)社会科学の背景にあるロジック、認識論からスタートしているという点です。
私たちが「世の中をどのように認識しているのか」という課題を存在論(ontology)と認識論(epistemology)といいます。これらは、研究において手法(method)やリサーチ・デザインの基礎となります。本書では方法論と手法(method)が明確に区別し、その「存在論—認識論—手法の関連を整理し、説明しています。
方法論(methodology) = 認識論(epistemology) + リサーチ・デザイン
+ 手法(method)
博士後期課程の学生を対象として書かれた本で、スラスラ読める内容ではありませんが、社会科学の基本を学ぶ上で重要だと思い、春休みに読んでもらい、さらに輪読を行い、解説もしました。
―― ゼミ生の感想 輪読をしてみて
4年・宮下楊子)「背景にあるロジックから学ぶ」。最初にこの本を読んだとき、帯に書かれたこの言葉が、どれだけ大事なことなのかを痛感した。小手先の技術だけで、研究は成しえないのだ。卒論中間報告会まで、2 か月を切っている。急ぎつつも、丁寧に。夏休みまでの間、ロジックをしっかり理解した上で研究を進めていくようにしたい。
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