佐々木類著「ステルス侵略」

 村上ゼミの毎月恒例、課題図書。毎月1冊、村上先生が選出した本を読み、章ごとの100字要約と1000字感想を提出しています。今回紹介するのは、2023年冬休みの課題図書です。


佐々木類 「ステルス侵略」(ハート出版)

 著者は、早稲田大学卒業後、産経新聞に入社。事件記者として、警視庁で企業犯罪、官庁汚職、組織暴力などの事件を担当。

 地下鉄サリン事件では独自の取材網を駆使し、オウム真理教を刑事・公安両面から追い込むなど、真相究明に走り回る。その後、政治記者となり、政治部デスク(次長)に。

 2010年、ワシントン支局長に就任後、論説委員、九州総局長兼山口支局長を経て、2018年10月より論説副委員長。

 現在の日本は領土的な脅威にさらされているだけではなく、内部から「静かに」「目に見え

ぬ形で」蝕まれつつある。「ステルス(隠密)侵略」だ。

 その舞台は中央政界から地方政界、地方自治体、財界や地方の経済界、教育の現場であり

中国による侵略は加速度を挙げながら進み、日本はもはや、後戻りできるか、できないかの

瀬戸際まで追い込まれているのが実態なのである。(中略)

 本書は、そんな危機的な状況を具体的な事例をもって一人でも多くの日本人に示すこと

で、どうすればこの国の伝統、文化を守り抜き、子々孫々に繋げていくことができるのかを

考えるきっかけとなることを願って取材を進め、書き留めた。(─本書より)

――村上先生がこの本を選んだ理由は?

村上先生)5年ほど前に、「日本の国境」という番組を作った。実際に、与那国や対馬に行った時、対馬はほとんど韓国の人が住んでいた。「これは大丈夫なのか?」と思ったのが、そもそものきっかけ。

   「外国人が日本の土地を買うこと」について、「え?」と思っていたし、ずっと考えなくてはいけない問題だと思っていた。なので、そういう問題についてどこかのタイミングでゼミ生と議論したいと思っていたのが一つ。それで、いいタイミングで佐々木類さんが本を出版いたので、この機会に読んでもらおうと思った。

   僕は、「日本が好き」とか「日本を理解している」という外国人を増やすということは大切だと思っている。なので、留学生を呼ぶってことは悪い政策ではないと思う。しかし、搾取につながるような制度はだめだと思っていて、ああいうのは日本を嫌いになって帰っていくだけ。そういったことを僕らは考えていくべきだと思うし、与那国島や対馬、石垣島などを見てきているので、もっと危機意識を持つべきではないですか、といったことを伝えたかった。

――読んでみて(学年は当時)

2年・山下諒人)日本と中国、隣の国であるからこそ、今後も必ず何かしらの関係が続いていく。その中で、この本で取り上げられているようなマイナスな側面がこれから問題化するのは間違いないだろう。日本にいる限り、中国との問題は必ず自分にも関係するものであるため、今後はより敏感に情報をキャッチする必要がある。

 本書の感想は、佐々木類さんに共有。後日、佐々木さんから返信があった。

佐々木)知らないと問題意識を持てないし、問題意識がないと問題を改善しようという気持ちにもならないことを、学生さんたちが理解してくれたように思います。出版社には高齢の方の感想ハガキが届くのですが、若い人がどのように考えているのかを知る機会が少なかったので、本当に嬉しいです。ありがとうございました。

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